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■神出鬼没・焼き芋屋

募る思い。
会いたい時にあなたはいない。
この時期になると恋しくなるのがおでん、肉まん

そして焼き芋です。
私はこの冬の三種の神器の中でも焼き芋が群を抜いて好物です。
しかしおでんや肉まんは食べたいと思ったらいつでも買うことが出来ますが、焼き芋というのはどこからともなくあの独特の声が聞こえて来て、
買おうかどうしようか財布を握りつつ悩んでいる間にもうどこに行ったかわからないという非常に神出鬼没で入手困難なものです。

ここで素朴な疑問が浮かびました。
「焼き芋屋はどこから来てどこへ行くのか。そもそも焼き芋屋ってどんな職業なんだろう」。

大好きな焼き芋をいつでも食べれるようにするには焼き芋屋についてもっと知るしかない、
ということで、思い切って焼き芋屋さんをつかまえて色々聞いてみることにしました。

何はともあれ、まずは焼き芋屋さんに出会わなければなりません。これがなかなか大変でした。

ネット上で調べてみても、焼き芋屋用の道具は売っていても焼き芋屋の情報は全くありませんでした。
ということは通りすがりの焼き芋屋さんを捕まえるしかないわけです。

焼き芋屋を捕まえようと思った日から、通勤時、お出かけ時にも耳を澄ましてあの声が聞こえてこないか神経を張り巡らせておりました。
しかし会おうと思って会えるものでもありません。これは長い戦いになるなと覚悟しました。

そして思いを募らせ始めて数日が経ったある日。ついにその日が来たのです。

いた!
見つけた!

買い物帰りに聞こえて来たあの独特の声。すぐに辺りを見回しました。
あの屋台は…!間違いなく焼き芋屋さんです。

ちょうど休憩していたらしく、今にも発車しそうな様子でした。
なりふり構わず慌てて猛ダッシュです。

まってええええ
待ってええええええええ
ほ…。
待ってくれた。

どうやら気づいてくれたようで、再び止まってくれました。
長年思いを寄せていた恋人と久々の再会をしたような、そんな感動と興奮を覚えました。
もしかしたらもう二度と会えないんじゃないかという不安に駆られていたので、その感動もひとしおです。

興奮を抑えつつ、早速焼き芋を購入させていただくことに。

Yさん。 薪が燃える独特のにおいと、かすかに漂ってくる焼き芋の匂いが私の食欲をそそります。よだれを抑えるのに必死でした。

ふと見るととても気のよさそうなおじさん。

これは思い切って色々聞いてみるしかない!
と言うことで焼き芋を買いつつ、ちょっとお話しを聞きたいんですがと伺うと、快くOKしてくださいました。

(Yさんです。優しいおじさんでした。)

Q、焼き芋屋を始めてどのくらい経つんですか?
A、今日から始めたんです。

おっとのっけからびっくりな回答。
なんと今日が営業開始日だったようです。なんという運命のめぐり合わせでしょうか。

Q、そうなんですか。焼き芋屋を始めようと思ったきっかけはなんですか?
A、恥ずかしい話しなんですが、実は会社をリストラされてしまいまして…

これまたびっくり。
立ち入ったことを聞いてしまって申し訳ないと謝ると「いやいいんですよー」と
明るく言ってくださってちょっと一安心です。

Yさんは独身なのでリストラをきっかけに寮がある仕事場を探したのだとか。そして焼き芋屋に決めたそうです。
私もかなり焼き芋屋さんについて調べたのですが、その開業方法がわかりませんでした。
どのようにして見つけたのか伺うと、なんとスポーツ新聞の求人欄で見つけたとか。
そんなところにあったのかと、目からうろこです。 そんな話しを聞いているうちにある疑問が浮かびました。

Q、求人欄や寮…ということは焼き芋屋さんて自営業ではないんですか?
A、違いますよ、ちゃんとした会社組織なんです。

これは衝撃の事実でした。

おなじみ。
話しの最中も食欲をそそる良い香りが。
詳しく聞いてみたところ、焼き芋屋は自営業の方もいますが、多くの場合は企業が管理していて、 車など機材を会社からレンタルし、売上の何%かを会社に渡すという、いわゆるタクシー会社と同じようなシステムだそうです。

ちなみに車は一日2000円でレンタルしていますが、長年勤めていて信頼がある人の場合は会社から車を無期限で貸し出されることも。
さらに機材に関しては買い取ることも可能だそうです。

さてここで今回一番気になる質問をぶつけてみることに。
食べたい時すぐ食べれるようにしたいというなんとも我が侭な発想が裏テーマでもある今回。
そのためには巡回ルートを把握することがポイントだと考えたのです。

この匂いが大好き。
燃え続ける薪。
独特の雰囲気。
年季の入った屋台。

Q、ところで回るコースって決まってるんですか?
A、いや、どこを走るかは自分で勝手に決めてます。ただ同業者同士の縄張りの事などもあるので…

縄張り!?焼き芋屋さんにそんなものがあるとは。

前述したように会社組織である焼き芋屋さんには当然上下関係もあり、長く続けている人ほど決まったコースや決まった地区を走っています。
そこに新参の人が入るのがダメ、というのは暗黙の了解であり、ルートがかぶった場合は
会社を通じて変更の指示を受ける場合もあるとか。
今日から営業を始めたYさんは、とりあえず様子見ということでこの日は浅草から周辺から浅草橋辺りを回っていたそうです。

聞けば聞くほど今まで想像していたものとはだいぶ違うイメージになっていった焼き芋屋さんですが、
ここでもう一つ気になっていたことを聞いてみることにしました。

おなじみの提灯。
おなじみの提灯。

Q、夏場は何をしているんですか?
A、うちの会社では夏は果物の移動販売をしてるらしいです。青果店のようなものですから。

なるほど!!!!

よく上野や新宿などで見かける果物の移動販売。
そう、棒に刺さったメロンやイチゴを売ってるあれです。
あれが焼き芋屋さんのもう一つの顔だったとは…!

つまり果物や野菜などを扱っている青果店のような会社が夏は果物の移動販売、 冬は焼き芋や焼き栗などを販売しているという、言われてみれば納得なシステムだったのです。

今までの質問の中で一番目からうろこでした。
大量のうろこがおちました。

ただひたすら関心していたところ「そろそろ行かないと…」というYさんの申し訳なさそうなお言葉が。
気がつけばだいぶ長いこと拘束してしまっていました。

こちらこそ申し訳ありませんでした、ありがとうございましたとお礼を言いお別れしました。

ゲット。
焼き芋ゲット。
おいしいに決まってる。
家に帰って早速食す。

◆予想外だらけだった焼き芋屋さん。

実はこの後、Yさんから連絡をいただきました。

お話を伺った日下見がてら回っていたルートは、すでに他の方が回っていたルートとかぶっていたらしく、もう浅草周辺を回ることは出来なくなってしまったそうです。
今は北区や文京区あたりを回っているんだとか。

定年退職をしたおじさんがのんびりとやっているというイメージだった焼き芋屋さんでしたが、その実態はちゃんとした企業で、びっくりすることだらけでした。

でも帰ってきて焼き芋を食べていると、この味は自宅では味わえないからこそ、神出鬼没だからこそ価値のあるものなんだなとしみじみ思いました。


◆残された疑問。

後日、本当にスポーツ新聞に求人が掲載されているのか、気になっていたので
まとめ買い。
買ってきてみた。

とりあえず目に付いたスポーツ新聞をまとめ買いし、早速調べてみたところ…
ここにも。
ここにも。
そこにも。
そこにも。
ほっかほか。
あそこにも。そしてほっかほかに。
一紙くらいには載ってるかなと思っていたのが
なんと全紙に掲載されておりました。

他にも移動販売に関しての求人がちらほらと。
こういうところにあるんですね。

詳しくは書けませんが他にも興味をそそる求人が
たくさんありました。夫婦とかなんだろう。

世の中には色んな職業があるんですね。

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